スマートフォン版へ

南関東の台風の目! 長い休養を乗り越えて完全復活

  • 2016年04月12日(火) 18時00分
和田譲治騎手

左大腿骨骨折という大ケガから復帰した和田譲治騎手



和田譲治騎手「なかなか治らなかったですけど(騎手を)諦めたことはないです」

赤見:1年8か月という長期休養からの復帰、おめでとうございます。

和田:ありがとうございます。休んだ期間は長かったんですけど、復帰してみたらあっという間だったかなとも感じます。ケガのあとは乗り鞍とかどうしても減ってしまいますから、その辺りは不安だったんですけど。初日(2016年3月14日)からたくさん乗せていただきましたし、最初の開催で重賞(京浜盃/キーパンチャー3着)にも乗せてもらって、本当に有難かったです。

赤見:復帰初日から4鞍に騎乗してメインレースで2着、復帰2日目で勝利を挙げました。

和田:久しぶりのレースでしたけど、体力面でも精神面でも全然大丈夫でした。開催が始まったらバタバタして、「あ〜競馬の日はこんな感じだったな」って思い出しましたね。初日は雨だったんですけど、1レースのパドックに行ったらファンの方が声を掛けてくれて。あれにはグッと来ました。競馬行ってもケガする前とあんまり変わらないというか、むしろ今の方がいいんじゃないかという感じです。スタートも前より決まるようになりましたから。休んでいる間に体の使い方を勉強したり、自分を見つめ直す時間を作れたのがよかったのかもしれません。

 2日目で勝利できたことは嬉しかったですね。乗る前にレースのVTRを見て、気の悪いところがある馬だなと思っていて、この馬にとっての理想的な形に持って行くことができました。長い間休んでいたので、やっと勝つ嬉しさを味わえて本当に嬉しかったです。

赤見:さらに、3日目には重賞・京浜盃で12番人気のキーパンチャーを3着に持って来ました! これはインパクトが大きかったです。

和田:あのクラスでも勝負できる、能力の高さを持った馬です。直線は本当によく伸びてくれましたね。長く休んでいた自分に乗せてくれた、オーナーや関係者の皆さんには本当に感謝しています。復帰初勝利の時も、重賞で3着だった時も、周りの調教師や厩務員さんが声を掛けてくれて嬉しかったです。

和田譲治騎手

復帰戦となった2016年3月14日大井1レースのパドック



赤見:復帰後はとても順調に進んでいるわけですが、2014年の落馬事故から1年8か月休んでいたわけで、相当ご苦労もされたんじゃないですか?

和田:ちょうど2013年頃から勝ち星が一気に増えて来て(2013年85勝)、2014年は初めて上位を狙える位置(7月30日の落馬事故当時、南関東8位)にいたんです。騎手としてこれからっていう時だったし、プライベートでも結婚して妻が妊娠中で、公私共に充実している時でした。左大腿骨骨折ということで、ショックは大きかったです。まぁでも起きてしまったことは仕方ないですし、大腿骨やったらしばらく休むしかないので、気持ちはすぐに切り替えられました。落馬した日はソルテのレースに騎乗する予定(サンタアニタトロフィー)だったんですけど、病院でレースを見て応援してましたから。他にも自分の乗り馬たちは素直に応援してましたね。

赤見:かなり前向きですね。

和田:そうですかね。悔しい気持ちもありますけど、性格的にそんなに落ち込まないんですよ。ただ…、手術が失敗した時にはさすがに落ち込みましたね。最初の診断で医者から「全治1か月」って言われたんですけど、周りにも大腿骨骨折を経験している人がいたし、自分自身でもそれはないなと思いました。でも、まさかここまで復帰が遅れるとは正直思わなかったです。手術が上手く行かなくて、結局4回することになりましたから。

赤見:去年の夏頃にお会いした時、ケガから1年経っていたのに杖をついていて驚きました。

和田:あの時はまだプレートが入っていたんですよ。その後もう一度手術をして、今に至るわけです。

赤見:先の見えない期間が長く、本当に辛かったと思いますが、どうやって気持ちを保ったんですか?

和田:大きなケガだったから、ゆっくり休んで復帰を目指そうという気持ちでした。一番大きかったのは家族の存在です。僕がケガをした時には妻は妊娠していて、しかもちょうど引越しとかもあって、相当大変な思いをさせてしまいました。そんな中で毎日病院に来てくれて、本当に支えられました。入退院を繰り返していたんですけど、長男が生まれる時は退院して立ち会うことができたんです。休養中じゃなかったら、なかなか一緒にいられる時間がないですから、そういう意味ではよかったのかなと。息子とずっと一緒にいられたし、本当に癒されました。

赤見:いつ復帰できるかなかなかメドが立たなかったそうですが、諦めた時はなかったんですか?

和田:騎手をですか? それは全然ないですね。周りの方からは「待ってるよ」って言ってもらっていましたし、なかなか治らなかったですけど、諦めたことはないです。

赤見:では、これからの目標を教えて下さい。

和田:まずは目の前のレースを大切にすることです。依頼された馬を一生懸命乗って、勝ち星をあげることですね。復帰してから想像以上に周りが乗せてくれるので、恩返ししていきたいです。長かった休養を取り返す気持ちで進んでいきます!

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

すでにお気に入りに登録しています。

登録済

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

赤見千尋
1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミックシリーズ」の「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング