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全国障がい者馬術大会をご紹介します!

  • 2016年11月01日(火) 18時00分
全国障がい者馬術大会

選手宣誓という大役を見事にやってのけました




始めたときの会員は、僕一人でした


 ライアン・ムーア騎手とモーリス、世界が認める人馬で天皇賞(秋)完勝制覇。これでもか…と実力を見せつけられた感じで素晴らしかった。感動です。おめでとうございます。

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 今週は、10月28・29・30日に三木ホースランドパーク(兵庫県三木市)で行われた全国障がい者馬術大会について紹介したいと思います。

 会場となった三木ホースランドパークは、エクウスの森(馬術大会・乗馬体験・トレッキングなど)、エオの森(宿泊・研修・キャンプなど)、ミオの森(レクレーション・アスレチック・面白自転車など)といったエリアがあり、馬にふれたり馬車にも乗ることができます。飲食店やレストランもあり緑いっぱいの自然豊かな三木山です。別世界に来たような錯覚も起こしてしまいそうなパークです。(僕もコンビニを探して歩き続けて山ばかりなので2時間ほど迷子になってしまったほどです。苦笑)

 JRADとは日本障がい者乗馬協会のことです。今年で大会が24回目になります。日本障がい者乗馬協会の会長渡辺廣人さんが日本で初めて障がいをもった人の乗馬の大会にされたそうです。始められた時は、会員は僕一人でしたといつも挨拶の時におっしゃります。

 全国障がい者馬術大会には、日本全国から参加者が集まります。今年の参加者は約180人ほどで、うち障がい者は80人くらいです。大会スタッフはボランティアも含め約80人ほどです。

 競技の審判委員は、オーストラリアのJan Gearさんが務めています。パラや世界選手権の審判委員をされている方です。他にも、馬術強化合宿の講師としてオランダからMiranka氏に来ていただきました。

 障がいの具合によって競技はグレード制に分かれています。
馬場馬術ノービスグレード1a 1b III IV
馬場馬術規定競技グレード1a 1b III IV
チームテスト
スペシャル競技ジムカーナ
など様々な形で行われています。グレードによって経路が違ってきます。

全国障がい者馬術大会

チャンピオンシップ3位でした。残念


 僕は、グレードIIIでチームテストとチャンピオンシップに登録し「俺の天皇賞やー!」と挑戦しましたが、結果は散々でした。記憶が悪いので経路を覚えるのに一苦労します。今回は、何とか2種類とも経路を間違えることなく演技はできたのですが、そればかりに気を取られ詰めが甘くポイントを加算できず60ポイント以上を取ることができませんでした。こんな調子だとグズグズしてられません。おしりに火が付いた感じでちょっと焦り気味です。60ポイント以上はパラリンピック強化選手に選考されます。気合を入れて踏ん張っていかないと選考から漏れそうです。

 今回のスペシャルゲストにすごい選手が来日されました。リオパラリンピック銅メダリストのアンゲリカ(ドイツ)さんです。

全国障がい者馬術大会

リオパラリンピック銅メダリストのアンゲリカ(ドイツ)さん


 僕が通う明石乗馬協会の馬に2回騎乗しただけで馬と会話ができるようになり、アンゲリカさんが通ると馬が目で追いかける姿を見て、「この状況はなんだ…」と目が点になってしまいました。

 車いすに乗って馬を誘導し鬣も自分で編み込んで手入れをしていました。見て頂いたらわかると思いますが両足が切断されていて右手の指も3本でした。「ハンディなんかに邪魔されない。ハンディなんかない。できることを着実に増やしていく」という考えに頭に爆弾を落とされた気がしました。感動というより衝撃を受けました。

 動きも軽やかで無駄な動きもなくとっても美しい演技を見せてくれました。馬が大好きで自分の体の一部だとも言っていました。人馬一体ってこれぞ!って感じましたね。ドクターもされているそうで病の痛みもよくわかるとも話され素晴らしい出会いに感謝です。

 忘れっぽい僕ですが今日のことはシッカリ覚えておかないといけないと脳に言い聞かせました。僕の最大のライバルは、僕自身の脳ですからライバルに打ち勝つためにこれでもかと刻み込みました。僕はついつい左麻痺があるから脚を使えないし踏ん張れないから馬が動かないと愚痴ってる自分が恥ずかしくなりました。4日間も一緒にいたのでいろいろなエピソードやアドバイスもいただきましたが、一番に感じたのは言葉でした。やっぱり英語力は必要ですね。実感。今から「スピード…」で特訓するかな?

 ミランカさんにも強化合宿でみっちり教えていただきました。競技ではなかなか実践できませんでしたが、4歩後退の時、体全体を後ろに倒していたんですが、「オランダにだけ伝わる秘伝を教えるわ」と教えていただいて実践し「グッド!」とほめてもらいました。手首を柔らかくする。上下左右に動かすだけで馬が動くんですよ。当たり前のようですが、今の僕にはとっても難しかった。でもやり方とか理屈はよくわかったのでしっかりマスターしていきたいと思います。

全国障がい者馬術大会

強化合宿でミランカ講師に指導していただきました


全国障がい者馬術大会

手綱の使い方を指導していただきました


 とにかく「グッド・グッド」とほめてその後にここをこうしてとずっとつきっきりで指導をしてくれるのが心地よかった。明石乗馬で薫コーチの指導と同じなので確信することができましたが、思いと行動がイコールにならないのがもどかしく悔しいです。でも麻痺は治らず脚で合図が送れなくとも隅角をきちんと詰めるとか20m輪のりを正確に回るのは意識し認識することで解決できる。できることからやっていこう。

全国障がい者馬術大会

懇親会でアンゲリカさんとツーショット


 たくさんの選手がいる中で食事の時も話す機会があり、アドバイスをいただくことができて「やったー」って感じです。オープンな性格の方でどんどん受け入れてもらえて、厩舎の名前入りの木靴のお土産までいただきました。直接コーチをお願いすると是非おいでと言っていただき希望が見えた感じがします。

 大会の盛り上げに一役買ってくれたのが東京競馬場から来た人馬による「ファンタジックホースショー」でした。馬とのコミュニケーションが抜群で2頭使いもすごすぎて圧巻のショーに見とれてしまいました。

全国障がい者馬術大会

馬とのコミュニケーションが圧巻のショー


全国障がい者馬術大会

ホースショーで2頭がお辞儀をしている


 そして、今年は、元助手の宮路さんがリオパラリンピックに出場されたことも大きく反響を呼んだんだと思います。応援してくださる方がいると力もアップします。

全国障がい者馬術大会

乗馬大会後


 今回の大会では、元騎手の石山・高嶋・常石と3人が参加していたので競馬会の方も「何らかの形で支援したいと思う」と見学に来てくれました。チームジャパンorチーム元JRAでタッグを組んで目指していきたいと思います。スタッフの方々を含めチャレンジしています。乗馬が世界に認められるように頑張っていきたいと思います。

 競馬の世界でも凱旋門の壁は、高く厳しかったようですが、日本の競馬を認められつつあります。僕たちのパラ馬術も認められるようにチャレンジが続きます。僕たちも馬を愛する気持ちはでっかく持っています。

 11月3日(木)馬事公苑でサンクスホースデイズが開催されます。宮路・高嶋・常石が参加し角居先生とのトークショーもあります。

 みなさんの参加で盛り上がります。馬事公苑に来てくださいね。待ってマース。

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 つねかつこと常石勝義でした。

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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

赤見千尋
1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミックシリーズ」の「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍中。

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