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ステイゴールド産駒らしい勝負強さを見せたアドマイヤリード/ヴィクトリアマイル

  • 2017年05月15日(月) 18時00分


◆3着内独占の4歳勢、凡走の5歳勢の今後に注目

 またまた、1番人気の牝馬が関係する重賞の波乱が飛び出した。

▽桜花賞は、単勝140円のソウルスターリングが3着
 「8→3→1」番人気の3連単は、9万4890円

▽皐月賞は、単勝240円のファンディーナが7着
 「9→4→12」番人気の3連単は、106万4360円

▽フローラSは、単勝210円のホウオウパフュームが8着
 「12→10→2」番人気の3連単は、39万7370円

▽NHKマイルCは、単勝500円のカラクレナイが17着
 「2→13→6」番人気の3連単は、29万6160円

▽ヴィクトリアマイルは、単勝190円のミッキークイーンが7着
 「6→11→7」番人気の3連単は、91万8700円

 このうち90万円以上の2つが、JRAのG1競走3連単「高額配当ベスト20」に新たにランクインすることになった。G1競走は3連単が発売された2004年の秋以降、約400レースが行われたが、これでヴィクトリアマイルが「3回」、NHKマイルCも「3回」ランクインである。

 G1の3連単高額配当ベスト20には1度も登場しないG1が約半数を占める。「NHKマイルC、ヴィクトリアマイル」の計6回は、この東京マイルの2つのG1は突出した波乱レースであることを伝えている。スローの多くなりすぎたマイル戦もその理由だが、同時に、コース改修後の東京コースのビッグレースはとたんに波乱含みになったという傾向があるらしい。実際、3連単の高額配当ベスト20のうち、約半数の9競走を東京のビッグレースが占めている。

 今回、断然人気だったミッキークイーン(父ディープインパクト)の凡走は、前回封じたアドマイヤリード(父ステイゴールド)、ジュールポレール(父ディープインパクト)相手に、接戦にもならないまったくの完敗だから、自信満々の陣営にとってショックだった。

 多くの関係者にしても、「どうも最初から手前の変え方が…。人馬に覇気というものが…。もともと反応の遅い馬にスローの上がり勝負は…」など小さな理由を並べても、とくにこれといった決定的な敗因がみつからないのである。ミッキークイーンが勝ち馬に「0秒5」も離されたのは初めてのこと。8着のジャパンCも、5着の有馬記念も、こんなに差はなかった。とくに牝馬同士ではすべて3着以内だったのがこれまでである。近年の牝馬は、以前よりはるかに強力だが、どんなエース格でもときには首をひねるような不可解な凡走があるということか。

 1番人気の牝馬の凡走がつづいたところで、今週は「優駿牝馬(オークス)」。かつて波乱の歴史を続けたオークスは、最近の波乱度は小さい。「高額配当3連単ベスト20」になど1回も顔を出していないが、この春の隠れた主役「前出のソウルスターリングと、ホウオウパフューム」がそろって出走予定である。みんな、総力をそそいで検討したい。

 初重賞制覇がG1となったアドマイヤリードは、多くの生産者や、多くのファンの味方だったステイゴールドが送ったいかにもそれらしい産駒。今回の馬体重は父と同じような422キロ。母の父ニューメラス(父ミスタープロスペクター)は、ステイゴールドの初期の活躍産駒の母父だったモガンボや、クリエイターと同じように無名に近い種牡馬である。ステイゴールド産駒は16年生まれの血統登録産駒は1頭だけなので、15年生まれの現2歳馬が事実上の最終世代になる。

 この日、JRA600勝を記録し、1日最多連対記録タイ9回も達成したC.ルメール騎手はまさに絶好調。「彼女の瞬発力は強いけど、短い」と振り返ったように坂上まで気合は入れつつ、追い出しを最後まで我慢した絶妙のスパートだった。スマートレイアー、ソルヴェイグの間にスペースが生じて突っ込むと、すぐに狭くなったが、2頭をはねのけるように抜けだしたアドマイヤリードの勝負強さはすばらしい。小型馬なので、安田記念は見送り夏のクイーンS(札幌)が次走となりそうだが、現在、マイル路線にも、エリザベス女王杯を目ざす路線にも断然の主役はいないので、今回上位を占めた同じ4歳世代の牝馬とともに、秋の注目馬の1頭になる。

 福島牝馬Sで途中からスルスル進出して4着したデンコウアンジュ(父メイショウサムソン)が少しもよおし気味に復調のきっかけをつかみつつあることはみんな知っていたが、そこまでは手が出せないから11番人気。先週のリエノテソーロもそこまでは買い切れないから13番人気。この春のビッグレースで高配当を手にするのは大変である。思いとどまってはダメ、傷が深くなるのを承知で買わなければならない。

 また、体が減ったジュールポレールはちょっと細く映るほどだったが、初遠征、初コースなどの不利を克服。2012年のマイルチャンピオンSなど【6-2-3-19】のサダムパテック(父フジキセキ。初年度産駒は現1歳)の下。祖母ダイアモンドシティのいとこには1982年のプリークネスSなど7勝のアロマズルーラーがいるタフなスピード系。まだキャリアは浅いが、昨秋500万条件を勝ったのを出発点に【3-0-2-0】。オープンに出世してからもまったく崩れない。アドマイヤリード、復活デンコウアンジュとともに、これからさらにパワーアップしたい。

 伏兵人気の4歳馬が1着〜3着を独占したため、惜敗だった7歳スマートレイアーは別にして、5歳ミッキークイーンと同期のクイーンズリング(まだ体調一歩だった)、ルージュバック(今回は本調子でない)、レッツゴードンキ(最初からかかり通し)などそろって完敗したグループの印象は悪くなってしまったが、今回は能力を出し切っていない。秋のビッグレースシーズンには評価を取り戻したい。ただし、今年は夏休みはないかもしれない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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