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ツキのなかったこの馬も、流れが変わった/マイルCS

  • 2017年11月18日(土) 18時00分


◆時計不足の伏兵も勝ち負けに加われる可能性が高い

 最近10年間の平均勝ち時計は、ヤヤ重馬場を含めて「1分32秒69」であり、その前後半バランス平均は「46秒41-46秒28」。絵に描いたような、美しいバランスになる。

 中間地点の3コーナーに上り下りの坂があるのがバランスをもたらす最大の要因で、これはまた、レース展開によっての紛れが少ないことに通じる。したがって、もちろん速くなったり、遅くなったり、流れによる波乱は生じるが、他場に比べるとそういう展開による波乱は少なく、マイルチャンピオンシップは、創設されて11回目まで、1番人気馬は【7-4-0-0】だった。そのあと乱ペースの波乱の時代があったが、最近はまた比較的平穏な結果が多くなっている。

 今年は、2〜3週前の豪雨もあって高速馬場ではなく、速くとも平均勝ち時計の1分32秒69前後か。平均バランスで1分33秒前後だと、好位の人気馬はまず崩れない一方、高速決着を歓迎しないちょっと時計不足の伏兵も勝ち負けに加われる可能性が高くなる。

 その筆頭に、5歳のいま頭角を現してきたクルーガー(父キングカメハメハ)を考えたい。

 4歳の春、距離1600mには初めての出走となったマイラーズC(今回と同じ舞台)を、いきなり1分32秒6で勝っている。そのあと2度目の骨折で1年も休養し、休み明けでの出走となったのが、今春のマイラーズC。イスラボニータ=エアスピネルから「0秒9〜0秒8差」の10着にとどまったが、直線スパートしかかったところで、内のフィエロ、外のエアスピネルの間に挟まれてせまくなり、手綱を引く不利が大きかった(フィエロは外斜行で戒告されている)。

 そのあと、放牧調整のため6カ月の休み明けで出走したのが前回の富士S。長期休養をはさみつつ3度目の1600mのここでは、エアスピネルから0秒4差。イスラボニータとは0秒1差だった。上がり34秒6は出走馬中の最速。2度つづけて「イスラボニータ=エアスピネル」に負けているが、骨折明け、直線の不利、6カ月ぶりなどを考えると、ほとんど能力差はないのではないかと思える。

 身体の不安がなくなった今回は、連続してビシビシ追い、動きが格段に鋭くなっている。ランクは下なので、登録馬中の21番目の賞金順位では除外かとみられたが、回避馬が出て18番目に滑り込みで出走できた。最初、スピード勝負のマイラーと考えられていなかったのは、母方が半世紀以上もドイツで発展したファミリーのため。

 だが、その牝系に安田記念2着のディクタット、そしてキングカメハメハが配合され、日本のマイル戦に対応できるスピードを身につけたのがクルーガー。賞金不足で週初めまで騎手は未定だったが、ドイツのトップジョッキー「アンドレアッシュ・シュタルケ騎手」が空いていた。シュタルケ騎手は、ドイツ産の母アディクティド(その母の父ズルムー)に乗って勝ったことがあると伝えられる。

 出走できたこと、タフなドイツ血統はお手のもののシュタルケ騎乗となったこと、少し時計がかかりそうな芝など、3回も長期休養があってまだ13戦【5-2-3-3】しかしていないツキのなかったクルーガーに、流れが変わったように思える。

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登録済

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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