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すずらん賞制覇の道営リュウノユキナ、中山カンナS挑戦へ!

  • 2017年09月19日(火) 18時00分
五十嵐冬樹騎手

リュウノユキナですずらん賞を制した五十嵐冬樹騎手にインタビュー!(撮影:大恵陽子)




「今後もいい走りはしてくれるんじゃないかなと期待しています」


 9月3日に札幌競馬場で行われた2歳のオープン戦すずらん賞。道営所属のリュウノユキナが9番人気の低評価を覆し、初の芝挑戦で快勝しました!次なる舞台は9月30日に中山競馬場で行われるカンナS。コンビを組む五十嵐冬樹騎手に、意気込みをお聞きしました。

赤見:まずはすずらん賞制覇おめでとうございます!初めての芝で強いレースでした。

五十嵐:強かったですね。坂路の感じや飛び自体は芝をこなせそうな雰囲気はあったんですけど、いかんせん血統背景がね、完全にダート血統なので(父ヴァーミリアン×母父クロフネ)。まるっきり芝がダメというわけではないけれど、半信半疑ではありました。

赤見:レースは外からどんどん伸びて行きましたね。

五十嵐:イメージ通りのレース運びができました。結果的には内が荒れていたあの日の馬場も合ったんでしょう。枠順とこの馬の性格も含めて一番いいところを通っていけましたね。道中は手ごたえが良かったし、追い出してもスッと反応してくれて。あんなに強い勝ち方をするとは正直びっくりでした(笑)。

赤見:4コーナー辺りでは、勝ったなと?

五十嵐:追い出すまではまだ半信半疑でしたけど、直線を向いて「これは勝てるな」と思いました。

リュウノユキナ

直線を向いて「これは勝てるな」と思いました(c)netkeiba.com


赤見:走り方が、すごく弾むような走りに見えたんですけど。

五十嵐:そうですね。バネを使ってみたいな走りはしますね。ダートでもオープンを勝っているし、芝でもこうやってJRAのオープンを勝ってくれて。すごい馬ですよね。ただまだ芝を使ったのは一度だけですし、洋芝が合ったという可能性もあるので、まだ何とも言えないですけど。でも、今後もいい走りはしてくれるんじゃないかなと期待しています。

赤見:しかも自厩舎の馬ですから、喜びも大きいですよね。

五十嵐:そうなんですよ。そこはすごく嬉しいです。桑原(義光)先生は今年いっぱいで引退なので、最後にこういう馬が出て来てくれて本当に嬉しいですね。もう一つくらい大きな舞台で勝ちたいです。

赤見:次走は中山のカンナSということですが、レース後はどんな様子ですか?

五十嵐:全然ダメージもないですし、3日後から乗り始めて今は順調に来てますね。今はだいぶ大人になってくれたんですけど、実は初期調教の頃からかなり手が掛かる馬だったんですよ。

赤見:初期調教というと、鞍付けや初めて人が乗るという段階ですね?

五十嵐:そうです。道営の場合は初期調教からジョッキーがやるんですけど、鞍を付けたら背中を丸めて飛び跳ねたり、乗ろうとしたらぶっ飛んで行って…僕は落ちて気絶させられたりもしました。能力検査の時も暴走してスタッフ2人を引きずって行ったし、2戦目の時は危なくてパドックで乗れなかったですからね。でも毎日毎日、スタッフといろいろ考えながらやっていって。今でもまだ微妙なところはありますけど、かなり成長してくれました。

赤見:まだ気性的には伸びしろが大きそうですね。

五十嵐:まだまだ伸びしろはありますね。その中でここまでの結果を出すのは本当にすごいと思います。レースを重ねる中で着実に良くなってくれているし、この馬くらい手が掛かって成長が窺えるというのは、なんだか気持ちも報われますよね。気性が難しい馬はたくさんいますけど、ここまで明確に1戦1戦良くなってくれるっていうのはなかなかいないですよ。

赤見:今回初の中山になりますけれども。

五十嵐:長距離で1頭での輸送なので、寂しがるところのある馬だからそこは少し気になりますね。札幌の時もピリピリするかな?と思っていたら意外と落ち着いてくれていたので、今回もこなしてくれればと思います。この馬は本当に手が掛かっているんでね、札幌で勝った時も他の馬で勝ったのとは違う感慨深さがありました。この馬と一緒に中山に挑戦できるというのは嬉しいです。

赤見:すずらん賞を見ていると、気性の激しさをまったく感じませんでした。

五十嵐:どっしりしているように見えるでしょう?でも実はかなりやんちゃです。ただ今はもう人間が怪我するんじゃないかとか、そういう段階は終わったので。状態を整えて、しっかりと馬を見極めながら次に向かいたいと思います。

赤見:では、五十嵐騎手自身のお話を伺いたいんですけれども、中央地方の2000勝はすでに達成されていましたが、今年の8月に地方通算2000勝を達成。道営所属騎手として初の快挙です!道営は冬場の5か月間開催がお休みですから、この2000勝というのは他場以上の重みがありますよね。

五十嵐冬樹騎手

2000勝以上した騎手が出場できるゴールデンジョッキーカップにも出場しました!(撮影:大恵陽子)


五十嵐:ここまで勝たせていただいたのは、がんばってくれた馬たちと関係者の皆さんのお陰ですよね。デビューした頃は「1000勝なんて無理だ」くらいに感じていて、1000勝している先輩ジョッキーを見ると「すごいな」と思っていました。その中で自分が1000勝し、2000勝して。やっぱり周りのお陰だなってつくづく思いました。北海道はオフシーズンが長い分、なかなか辿りつかないですからね。僕の年でここまで勝たせてもらって、本当に感謝しています。

赤見:しかも、2014年にはアキレス腱断裂があり、さらに膝の手術もしたんですよね。

五十嵐:アキレス腱に関しては時間が経てば治るんですけど、膝の方が心配でしたね。お医者さんも手術するしないで迷っていて。アキレス腱を切ったために時間が出来て、じゃあ手術しますかってなったんですよ。その代わり、膝の外側の腱を切りっぱなしにすることになるので、「馬は乗れてもジョッキーとして同じように乗れるかはわからない」とは言われました。

赤見:かなりの賭けだったんですね。

五十嵐:これでダメならもう騎手は続けられないと思いました。だけどこのまま痛み止めを打ち続けて乗るというのも難しい時期に来ていたので、覚悟はしましたね。変ないい方ですけど、アキレス腱を切って良かったなと。あれがなければ膝の手術に踏み込めなかったと思うので。

赤見:膝はずっと悪かったんですか?

五十嵐:一番最初に痛みが出たのは毎週のように中央に乗せてもらっている頃で、2007年頃ですね。攻め馬が終わって階段を上がろうと思ったら上がれなくて。その日は土曜日で札幌で競馬だったんですけど、11鞍すべて騎乗変更したんです。それが始まりでした。その時に注射を打って、しばらく痛みが出なくなって。普段はびっちりアイシングをして、という形でごまかしごまかしやって来たんです。でも年齢を重ねて、痛みが出る感覚が詰まって来て。もうこれは、というところまで来てましたから、手術して本当に良かったです。今は全然問題ないですから。

赤見:では、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

五十嵐:今年はリュウノユキナもそうですし、重賞2勝のサザンヴィグラスもいて、いい馬たちに出会うことが出来ました。久しぶりに中央で勝つことも出来たし、新たな挑戦もできるのでとてもわくわくしています。一生懸命がんばりますので、応援していただけたら嬉しいです。

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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

赤見千尋
1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミックシリーズ」の「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍中。

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