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ファシグティプトン・ノヴェンバーセールに名牝ソングバードなどが上場

  • 2017年09月20日(水) 12時00分


◆どんなマーケットが展開されるかに注目したい

 北半球のブラッドストックマーケットは現在、1歳馬たちが上場されるセールが真っ只中で、まもなく欧州最高の品揃えを誇る英国ニューマーケットのタタソールズ・オクトーバーセール(10月3日〜14日)という大きな見せ場を迎える。
 
 イヤリングセールのシーズンを終えると、次に続くのは牝馬たちが上場されるブリーディングストックセールの季節だ。その皮切りとなるのが、10月25日に行われるJS繁殖馬セールで、これに続くのが、11月6日に北米のケンタッキーで開催されるファシグティプトン・ノヴェンバーセールとなる。

 JSの市場も近年は上場馬の品質向上が著しく、今年も、実績あるトップサイヤーを受胎して上場される牝馬が多数いる他、モーリス、ドゥラメンテといった期待の新種牡馬を受胎しての上場馬もおり、その動向が大いに注目されている。
 
 そして、それに輪をかけて超A級馬がスタンバイしているのが、ファシグティプトン・ノヴェンバーセールである。目玉商品の筆頭が、15年の2歳牝馬チャンピオンにして、16年の3歳牝馬チャンピオンのソングバード(牝4、父メダグリアドロー)だ。
 
 詳しい戦績は、同馬の引退を報じた2週間前のこのコラム【近代屈指の名牝ソングバードが大一番を前に引退】をご参照いただきたいが、通算成績15戦13勝。敗れた2戦の着差も、ハナ差とクビ差であったから、ほぼ完璧な競走実績を残した馬である。デビューから3歳秋まで無傷の11連勝をマークした際の、2着馬につけた着差の平均が5.1/2馬身という数字が、この馬が持っていた図抜けたスピードを如実に物語っている。3ミリオンからの勝負と言われているが、果たして誰がいくらで購買に成功するのか、今からその行方が楽しみである。
 
 ファシグティプトン・ノヴェンバーセールに上場されるチャンピオンホースは、ソングバードだけではない。15年・16年と、2年連続で芝の牝馬チャンピオンの座に輝いたテピン(牝6、父バーンスタイン)もまた、スタンバイしているのである。
 
 ソングバードが天才肌であったなら、4歳5月にG2ディスタフターフマイル(芝8F)を制したテピンは、遅れて開花した大輪であった。4歳以降の戦績を記せば、15戦11勝、2着4回で、4歳秋にはG1BCマイル(芝8F)を制して、牡馬も含めたこの路線の頂点に立った。5歳6月には英国遠征を敢行し、ロイヤルアスコットのG1クイーンアンS(芝8F)に出走。

 長い伝統を誇るこのレースで初めてとなる、欧州以外を拠点とした馬による優勝を果たすという、歴史的快挙を達成している。今年の春に繁殖入りしたテピンは現在、トップサイヤーのカーリンを受胎中で、母親の価値に、来春産まれてくる産駒のバリューを加味すると、この馬もいったいどこまで値が上がるものやら、予測不能というのが正直なところである。
 
 2歳時の15年にG1BCジュヴェナイルフィリーズターフ(芝8F)を制し、カナダの2歳牝馬チャンピオンとなったキャッチアグリンプス(牝4、父シティジップ)、2歳時に祖国のチリで2歳牝馬チャンピオンとなった後、北米に移籍してG1ビヴァリーディーS(芝9.5F)など2つのG1を制したダシータ(牝6、父スキャットダディ)、4歳だった16年にG1BCフィリー&メアスプリント(d7F)を制し、牝馬短距離チャンピオンとなったファイネストシティ(牝5)なども、ファシグティプトン・ノヴェンバーセールに上場を予定しているチャンピオンホースたちだ。
 
 このほか、牡馬を破ったG1シャドウェルターフマイル(芝8F)を含めて、昨年3つのG1を制したミステンプルシティ(牝5、父テンプルシティ)、昨年のG1ゲイムリーS(芝9F)勝ち馬イルミナント(牝5、父クオリティロード)、昨年のG1アメリカンオークス(芝10F)勝ち馬デックドアウト(牝4、父ストリートボス)、今年5月にチャーチルダウンズで行われたG1ラトロワンヌS(芝8.5F)勝ち馬ビッグワールド(牝4、父カストムフォーカルロス)らも、上場馬リストに名前を連ねている。

 上場馬の中には、母親として既にトップクラスの実績を残している馬もおり、例えば、昨年の全米2歳牡馬チャンピオン・クラシックエンパイアの母サンブーカクラシカ(牝13、父キャットシーフ)が、クラシックエンパイアの父でもあるパイオニアオヴザナイルを受胎して上場される予定だ。

 その他の受胎馬では、15年に出現した北米3歳3冠馬アメリカンフェイローの2歳年下の全妹で、自身もG1デルマーデビュータント(d7F)で2着となったアメリカンクレオパトラ(牝3、パイオニアオヴザナイル)が、トップサイヤーのアンクルモーを受胎して上場される他、15年のG1アルシバイアデスS(d8.5F)勝ち馬ゴーモー(牝4、父アンクルモー)が、メダグリアドローを受胎して上場される予定だ。

 欧米牝馬セール・サーキットの幕明けとなるファシグティプトン・ノヴェンバーセールで、どんなマーケットが展開されるかに注目したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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