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北半球各国で来季の種付け条件が公表

  • 2017年11月22日(水) 12時00分


◆フランケルの値動きが大きな話題

 英国や愛国の芝平地競馬は既にシーズンオフに入り、いくつか主要競走を残している北米も含めて、北半球各国では来春の種牡馬のラインナップが出揃いつつある。それにともない、各地の種牡馬繋養牧場から漸次、来季の種付け条件が公表されている。

 その値動きが大きな話題となったのが、英国のバンステッドマナースタッドで繋養されているフランケル(父ガリレオ)だ。御存知のごとく、14戦無敗の戦績を残して「史上最強馬」の称号を得て、2013年に種牡馬入り。以降、昨年まで12万5千ポンド(17年11月15日現在のレートで約1912万円)に据え置かれた種付け料が、2018年は17万5千ポンド(約2677万円)に上がることになった。

 初年度産駒が2016年に2歳になり、欧州でデビューした35頭のうち45.7%にあたる16頭が勝ち上がり、このうち4頭が重賞勝ち馬になっただけでなく、日本でデビューしたミスエルテがG3ファンタジーSを制覇するという、フライングスタートを決めたのがフランケルだ。

 それにもかかわらず、2017年春の種付け料は据え置きになったのだが、その後、日本でソウルスターリングがG1優駿牝馬=オークスに優勝。その一方でヨーロッパでは、重賞勝ち馬は複数出ていたものの、G1に手が届く馬はなかなか現れなかったが、シーズン終盤の10月21日にクラックスマンがG1チャンピオンSを7馬身差で快勝して欧州におけるG1初制覇を達成。このタイミングで、種付け料が率にして4割、実数にして5万ポンド(約765万円)ほど上がることになった。

 バンステッドマナースタッド供用馬では、日本で種牡馬として活躍中のハービンジャーを含めて20頭のG1勝ち馬を出しているダンシリ(父デインヒル)が、昨年までと同額の6万5千ポンド(約994万円)、14年にマイルG1を4勝して欧州年度代表馬となり、今年の1歳が初年度産駒となるキングマン(父インヴィンシブルスピリット)も、昨年までと同額の5万5千ポンド(約841万円)に据え置かれた一方、オアシスドリーム(父グリーンデザート)は昨年までの5万ポンドから、2018年は3万ポンド(約459万円)に減額となっている。

 欧州で話題の種牡馬と言えば、今年3歳の初年度産駒からエネイブル(牝3)という超大物が出たナサニエル(父ガリレオ)を忘れるわけにはいかない。2017年は1万7500ポンドだった同馬の種付け料は、2018年は2万ポンド(約306万円)となる。実を言えばナサニエルは、種牡馬入りした2013年から2016年まで2万ポンドで供用されており、2年ぶりに元に戻ることになったのだ。もう少し強気に出てもよさそうなものだが、エネイブル以外の重賞勝ち馬は、8月にドーヴィルのG3ミネルヴ賞(芝2500m)を制したゴッドギヴン(牝3)1頭しかおらず、繋養するニューセルスパークスタッドとしては、リーズナブルな価格でより多くの牝馬を集めるのが上策との判断があった模様だ。

 ニューマーケット近郊にシェイク・モハメドが所有するダルハムホールスタッドの看板種牡馬が、G1サンクルー大賞(芝2400m)勝ち馬ザラク、G1ヴェルメイユ賞(芝2400m)勝ち馬バティール、G1プリティポリーS(芝10F)勝ち馬ネズワー、G1BCフィリー&メアターフ(芝9F)勝ち馬ウエダ、G1オウサムアゲイン(d9F)勝ち馬ムブタヒジなど、今年も各国各地で様々なカテゴリーのG1勝ち馬を送り出したドゥバウィ(父ドバイミレニアム)である。同馬の来季の種付け料は、今季同様の25万ポンド(約3825万円)と発表されている。

 同じダルハムホール供用種牡馬では、15年の欧州年度代表馬で、今年の春に初年度産駒が生まれたゴールデンホーン(父ケイプクロス)も、前年までと同額の6万ポンド(約918万円)に据え置かれる。また、15年のG1キングジョージ6世&クイーンエリザベス2世Sを含むG1・4勝馬で、ドゥバウィの後継種牡馬として来年春にダルハムホールで種牡馬入りするポストポンド(父ドゥバウィ)は、2万ポンド(約306万円)という種付け料が設定された。

 来年春、シェイク・モハメドがアイルランドに持つキルダンガンスタッドで種牡馬入りするのが、3歳時のG1ジャックルマロワ賞、4歳時のG1ロッキンジS、G1クイーンアンS、G1ムーランドロンシャン賞と、合計で4つのマイルG1を制したリブチェスター(父イフラージ)である。こちらの種付け料は3万ユーロ(約405万円)と、種牡馬同期生のポストポンドよりは少々高めの価格設定となっている。

 同じアイルランドのクールモアスタッドで繋養されているリーディングサイヤーのガリレオ(父サドラーズウェルズ)は、種付け料を公表していない。そのクールモアで、2018年春に種牡馬生活をスタートさせるのが、チャーチル(父ガリレオ)、カラヴァッジョ(父スキャットダディ)、ハイランドリール(父ガリレオ)である。

 16年の欧州2歳チャンピオンで、3歳となった17年春に英国と愛国の二千ギニーを制したチャーチル、2歳時に制したG1フェニックスS、3歳時に制したG1コモンウェルスCを含めて5つの重賞を制したカラヴァッジョは、いずれも3万5千ユーロ(約472万円)という種付け料が設定された。競走馬としての格はチャーチルの方が上だったようにも思うが、カラヴァアッジョは15年12月に亡くなった父スキャットダディの後継としての期待が高いことから、需要も大きいと踏んでの強気の価格設定となったようだ。

 一方、10Fから12Fの路線で6つのG1を制した(11月19日現在)ハイランドリールは、種付け料1万7500ユーロ(約236万円)でのスタッドインとなる。クールモアでは、G1・4勝馬で、今年の春に初年度産駒が生まれたグレンイーグルス(父ガリレオ)が、前年と同額の4万ユーロ(約540万円)。14年に英愛ダービーに加えてG1インターナショナルSを制し、今年の1歳が初年度産駒となるオーストラリア(父ガリレオ)も、前年と同額の3万5千ユーロ(約472万円)で供用されることが決まっている。

 2017年の欧州で、産駒の活躍が顕著だった種牡馬の1頭が、アイルランドのイエオマンズタウンスタッドで供用されているダークエンジェル(父アクラメーション)である。G1ジュライC、G1スプリントCを制しカルティエ賞最優秀短距離馬となったハリーエンジェル、G1アベイユドロンシャン賞勝ち馬バテーシュ、G1クイーンエリザベス2世S勝ち馬パースエイシヴと、2017年だけで3頭のG1勝ち馬を輩出した同馬の種付け料は、前年までの6万5千ユーロから、2018年は8万5千ユーロ(約1147万円)と、率にして3割、実数にして2万ユーロ増額されることになった。

 この他、愛国で供用されている高額種牡馬では、ギルタウンスタッドで繋養されているシーザスターズ(父ケイプクロス)が、前年の12万5千ユーロから2018年は13万5千ユーロ(約1822万円)に増額。アイリッシュナショナルスタッドで供用されているインヴィンシブルスピリット(父グリーンデザート)は、前年から据え置きの12万ユーロ(約1620万円)となっている。

 北米で供用される主要種牡馬の、2018年の種付け料については、来週のこのコラムで御紹介させていただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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